公務員がテレワークできない理由と実現方法を解説

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公務員がテレワークできない理由と実現方法
  • テレワークを利用したいけど、誰もやっていない…
  • なぜ公務員は民間企業のようにテレワークが進まないのか…

育児や介護で仕事をこなす元気がない時、テレワークを利用したいと思ったことはありませんか?

公務員のテレワーク制度は整備が進んでいますが、個々の心理的ハードルや、公務員の業務特性から利用する人は少ないです。

私も公務員時代、テレワークを利用したいと思っていましたが叶わず、民間企業に転職し、在宅勤務を実現しました。空いた通勤時間を自由に使い、子供の保育園の送り迎えも無理なく行えています。

こちらの記事では、私の公務員時代の経験もふまえて、公務員のテレワーク事情について広く解説します。

この記事を書いた人
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すずき

公務員として新卒から17年間勤務。管理職も経験。40代で民間企業に転職しました。
自分の経験から、管理職公務員の悩みの解決方法や転職のノウハウをお伝えしています。

目次

公務員のテレワーク制度と実施状況は?

テレワークという言葉そのものは広く知られていました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、サテライトオフィス勤務や在宅勤務が急速に進みます。
公務員もテレワークを行う職員が増加。

しかしコロナウイルスの感染が収束するとともにテレワークは減少していきました。

公務員のテレワーク制度や実施状況は現在どうなっているのでしょう。

国家公務員のテレワーク制度

令和6年3月に内閣人事局と人事院は、国家公務員のテレワークについてガイドラインを作成しました。

国家公務員のテレワークについてガイドライン
引用:「国家公務員におけるテレワークの適切な実施の推進のためのガイドライン」についてに著者加筆

ガイドラインでは

  • 業務運営上の支障がない限りは、テレワークを認める
  • 職員の希望・申告を前提として職務命令により実施

が基本の考え方とされています。

地方公務員のテレワーク制度

地方公共団体におけるテレワークの取り組み状況調査結果の概要(総務省)によると、令和4年10月1日現在で、

  • 全団体(1,788団体)のうち、1,150団体(64.3%)が導入済
  • 都道府県、指定都市では全団体で導入済
  • 市区町村では1,083団体(62.9%)で導入しており、前年(849団体(49.3%))から着実に増加

と報告されています。
国家・地方ともに公務員のテレワーク導入は進んでいるといえます。

次に利用状況について調べてみましょう。

国家公務員のテレワーク実施状況

令和3年3月と令和4年4月のデータを比較してみます。

国家公務員のテレワークについて
引用:国家公務員のテレワークについてに著者加筆
令和4年度公務員白書
引用:令和4年度公務員白書に著者加筆

実施していないとの回答が令和3年3月では7.0%〜10.5%。令和4年4月では39.8%

テレワークを実施していない割合が増加しています。

地方公務員のテレワーク実施状況

地方公共団体におけるテレワークの取り組み状況調査結果の概要(総務省)によると、実際にテレワークを利用した職員の割合は0%以上30%未満、との回答が最も多くなっています。

地方公務員のテレワーク利用率のデータ
引用:地方公共団体におけるテレワークの取り組み状況調査結果の概要に著者加筆

テレワークの制度は導入されているが、利用率は少ないことがわかります。

なぜ公務員はテレワークできない?進まない理由

公務員のテレワークが進まないのは、テレワーク利用に対する個人の心理的なハードルが高く、職務特性からも利用が難しいからです。

テレワーク制度があっても心理的に利用しにくい

国家公務員の制度では「職員の希望・申告を前提として職務命令により実施」が基本。職場にまず申請し、上司からの命令されるによってテレワークができる仕組みです。

何度も申請したらサボってると思われるのでは……

同僚の目が気になる……

同じ課内にテレワークをしている人がいないと、余計に目立ってしまうと感じ、利用しにくくなってしまいます。

窓口業務・現場作業を廃止できない

市民課や生活福祉課など、窓口業務がベースの仕事ではテレワークを行えません。
私の例ですが、公務員時代は土木職として採用されました。

すずき

現場での打ち合わせが多く、工事についての急な苦情対応により呼び出される場面もありました。

部署や職種によってはテレワークの利用が難しい現状です。

扱う資料に個人情報が多くセキュリティリスクが高い

公務員が扱う資料には、市民の名前や入札金額など機密情報が多く記されています。テレワークのために持ち出し、紛失により大問題に発展したら…。
個人でそのような責任を負うのは嫌なのでテレワークをためらう職員も多いです。

資料がデジタルではなく紙ベースのものが多い

資料のデジタル化は進んでいますが、紙ベースの資料も多く残っています。一人が資料を持ち帰ってしまうと他の人は見れません。例えば土木工事の積算参考書も、課に1冊のみ置かれていることが多いため、テレワーク利用の職員が使用すると業務が滞ってしまう懸念があります。

勤怠管理が難しい

上司は部下が自宅で仕事を怠けていないかチェックできません。私の働いていた市役所でも、テレワーク時に勤怠管理を行うシステムの導入はされておらず、部下の管理方法を教える研修もありませんでした。

管理方法が確立されていないことも、テレワークの利用が進まない一つの原因といえます。

なぜ公務員はテレワークがしたいのか?

なぜ公務員はテレワークがしたいのか

公務員がテレワークを希望する理由は何でしょうか?それはワークライフバランスを整え、メンタルストレスが少ない働き方を希望しているためと考えられます。

育児・介護などに対応できる柔軟な働き方

40代の公務員は、育児真っ只中の人が多いです。私も公務員時代に朝と夕方、保育園の送迎のため急いで出庁・退庁していました。
テレワークであれば自宅での勤務になるので、リラックスして仕事に臨め、疲労が低減できます。

集中できる仕事環境を確保したい

会議資料や土木工事の設計書の作成など、自分一人で完結できる仕事の場合テレワークは有効です。
電話や窓口対応がないため、パソコン仕事などは出勤する場合よりも捗ります

通勤コスト・時間の削減をしたい

渋滞に巻き込まれるとストレスが増えます。さらに時間も余分にかかってしまい、仕事の効率が悪くなります。
テレワークはこの問題を解決できるため、利用したいと考える公務員が多くいます。

災害時や感染症のリスクに対応したい

新型コロナウイルスなどの感染症に加え、災害時でもテレワークならば自宅を拠点に仕事ができます。

すずき

私の住んでいる市が豪雨災害にあったときは、数日間家に帰れませんでした。

他の職員も同様で、家族にも負担がかかります。テレワークを利用すれば災害時にも交代で出勤しやすくなります。簡単な事務処理ならば家族がいてもこなせるでしょう。

テレワークは緊急時にこそ向いている働き方です。

公務員がテレワークを行うには

公務員がテレワークを行うには

テレワークを利用するには、まず異動を考えてみましょう。民間企業はテレワークを認める場合も多いため、公務員以外の働き方を模索する姿勢も大切です。

異動+強い心を持つことが大切

市民課や生活福祉課でのテレワークは難しいです。
情報政策担当課や企画経営担当課といった、比較的テレワークが可能な部署への異動を希望してみましょう。

テレワークを利用すると目立つため、周りの目を気にしすぎないこと出庁時と変わらない成果を出すことも重要です。

それでもテレワークができなければ転職も検討してみる

テレワークを実現するなら転職も合理的な手段になります。
自分が働いている勤務先でテレワークが何年後に普及しそうかを予測しつつ、転職エージェントや転職サイトを利用し、テレワーク容認の企業を探してみましょう。

これから公務員のテレワークは進むか

今後も公務員のテレワーク制度は整備されていきます。しかし職務特性・自治体規模によるばらつきは残り、すぐにはテレワークは標準化しないと考えられます。

国の主導、地方自治体での導入推進を背景に少しづつ拡大

国家公務員テレワーク推進計画では「いかなる環境下においても必要な公務サービスを提供できる体制を整備することを目指す」と書かれています。

地方自治体でもテレワークが推進されるよう、国から支援したり補助金を交付したりする対策も講じられました。
公務員にも今後テレワークがより普及していくでしょう。

公務員の仕組み上、窓口業務・現場作業は完全に廃止できない

住民票受付などの住民対応、ケースワーカー、土木・消防職などは完全にテレワークに対応できません。
これらの部署に配属された場合は出庁が必須になり、今後もテレワークは難しいと考えられます。

勤怠管理や人事評価制度の確立が不十分

テレワークを実施するには勤怠管理・人事評価制度の仕組みを整備しなくてはいけません。

すずき

私の働いていた市ではコロナ以降、上司からもテレワークについての勤怠管理などの仕組みを構築しようとの声は聞かれませんでした。

今後は公務員のテレワーク制度は整備されていきます。しかし実務・現場レベルで普及していくには課題が多く残っているといえます。

まとめ:公務員のテレワーク制度は心理的なハードルの高さと業務の仕組みから利用が進んでいない

テレワーク制度は国の主導もあり新型コロナウイルスの感染拡大以降、徐々に確立されてきました。しかしセキュリティリスクの高さや勤怠管理の難しさもあり、利用率は減少傾向にあります。

勤怠管理の難しさや周囲の目を気にして積極的にテレワークを行う公務員は少ないのが現状です。

テレワークはワークライフバランスやメンタルヘルスの改善に役立つ働き方。転職も視野に入れつつ、生活事情に対応できる柔軟な働き方を模索していきましょう!

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